蜜の味

さいきん読んだ本の影響で、なるべく体にやさしいような食事を心がけたい今日このごろ。

 

たまたま市内に天然の蜂蜜を作っている養蜂家がいらっしゃると聞き、紅葉に色づく山並みと稲刈りを終えた稲田が広がる景色の中を愛車を走らせた。

 

一見してただの民家をくぐると、とても人懐こい老夫婦がとても澄んだきれいな蜂蜜の瓶を用意して待っていてくれた。

 

ご夫婦はとてもお喋り好きで、知り合いから頼まれて蜂蜜の中にスズメバチを漬けたものを作ったところ、お酒好きにも関わらずそのお知り合いはスズメバチエキスのおかげで長生きされた、なんて話まで聞いた。庭で採れた柿までお土産に持たせてくれて、あたたかい人柄にだいぶ絆されてしまった。

 

自宅用にひとつと、さいきん著者を送ってくれた学生時代にお世話になった恩師へのプレゼントにひとつ買って帰った。久しく「中国産ではない」蜂蜜を探していたあの先生は喜んでくれるだろうか。

 

無添加の蜂蜜の雑味のない澄んだ甘さや田舎のあたたかさを以ってしても、スズメバチ入りの蜂蜜は遠慮したいなと密かに思ったのはここだけの話である。

めまぐるぐるしい

 

このところ、時間の過ぎる早さを実感するばかりである。

 

春が終わったと思ったら、もう夏も終わろうとしている。

 

子供はすくすく成長して、華奢だった手足はむっちり肉付きもよくなった。何となく喜怒哀楽も表情として現れるようになった。

 

早朝に夫の身支度の音でうっすら目が覚めて1日が始まったかと思ったら、子供を寝かしつけながら1日の終わりを迎えている。あぁ、また1日が終わったなぁなんて思いながら目を瞑る。

 

ばたばたと目まぐるしく過ぎていく。

 

片付けられずに溜まってしまった家事に苛つきを覚えることも、10キロ近くなった子供を抱っこして揺らすことに体力の限界を感じることも少なくない。けれど、そんな日々の中にも確かに、小さなよろこびの種は植わっているのだと思い知らされる。

 

枕元に本を置いて、我が子が気持ち良さげに昼寝をしている横でこっそり読むのがこのところいちばんの息抜き。つまみ食い、ならぬ『つまみ読み』である。

 

家事に育児に追われながらも、ちゃっかり読書の秋を満喫している。こんな秋も悪くはない。